青く澄み渡る空に映える雄大な富士山。その裾野に広がる自然と歴史が織りなす景観は、訪れる人々の心を癒し、感動させてきました。
今回は、富士山麓エリアの魅力あふれる観光スポットとグルメを巡る旅へとご案内します。日本の象徴である富士山を間近に感じながら、江戸時代から続く歴史的建造物「甲斐の猿橋」、神秘的な湧水群「忍野八海」、そして秋を彩る「富士河口湖紅葉まつり」など、バラエティ豊かな名所を訪ねます。
また、山梨ならではの美食「甲州ワインビーフ」と「甲州ワイン」の絶妙なマリアージュも堪能。四季折々の表情を見せる富士山麓の旅は、写真映えするスポットの宝庫であると同時に、日本の伝統と文化、そして大自然の恵みを五感で味わう貴重な体験となるでしょう。さあ、富士の懐に抱かれる絶景と美食の旅へ、出発しましょう。
甲斐の猿橋 – 日本三奇橋が織りなす歴史絵巻

悠久の歴史を持つ名勝
甲斐の猿橋は、山梨県大月市猿橋町に位置する日本三奇橋の一つとして知られる歴史的建造物です。桂川に架かるこの橋は、約400年前の江戸時代初期に建造されたとされていますが、その起源は平安時代にまで遡ると言われています。橋の名前の由来には諸説あり、最も有名なのは「猿も渡れるほど見事な橋」という意味から名付けられたという説です。また、昔、この地域に生息していた猿が川を渡るために木の枝を組み合わせたことから「猿橋」と呼ばれるようになったという伝説も残っています。明治時代には、この橋の独特な構造が高く評価され、1880年(明治13年)に国の名勝に指定されました。現在の橋は1984年に再建されたものですが、伝統的な「懸造り」と呼ばれる工法が忠実に再現されています。
見どころと周辺スポット
猿橋の最大の特徴は、橋脚を使わずに両岸から張り出した形で支える「カンチレバー式」と呼ばれる独特の工法です。この構造により、約31メートルの橋が桂川の上に優雅に浮かんでいるように見えます。特に橋の下から見上げると、複雑に組み合わされた木組みの美しさに息を呑むことでしょう。橋のたもとには「猿橋公園」が整備されており、四季折々の自然を楽しむことができます。春には桜、夏には新緑、秋には紅葉、冬には雪景色と、一年を通じて異なる表情を見せてくれます。公園内の展望台からは、猿橋と桂川の渓谷美を一望することができ、多くの写真愛好家も訪れる人気スポットとなっています。
取材を通して感じた魅力
「猿橋の魅力は何と言っても、その独特な構造と周囲の自然との調和です」と語るのは、地元観光協会の鈴木さん。「橋の下から見上げる角度が特に素晴らしく、多くの観光客がここで写真を撮られます。特に朝方の光が差し込む時間帯は、橋と川面の輝きが絶景です」また、「猿橋は単なる観光スポットではなく、地域の歴史と文化を伝える大切な遺産です。江戸時代には甲州街道の重要な通過点として栄え、多くの旅人や文人墨客がこの橋を渡りました。松尾芭蕉も『おくのほそ道』の旅の途中でこの地を訪れたと言われています」と教えてくださいました。訪れる際のおすすめ時間について伺うと、「混雑を避けるなら平日の午前中がおすすめです。また、紅葉シーズンの11月中旬から下旬にかけては特に美しく、橋と紅葉のコントラストは絶景です」とのこと。
もてなしや 三ツ星 富士吉田店 – 甲州の味覚を堪能する贅沢時間

山梨の食文化を継承する名店
富士吉田市に位置する「もてなしや 三ツ星」は、山梨県の食材と食文化を堪能できる名店として地元民はもちろん、観光客からも高い評価を得ています。2015年の開業以来、「地産地消」と「もてなしの心」をモットーに、地元の食材を活かした料理を提供し続けています。店舗は富士山の麓に位置し、晴れた日には富士山を望むことができる絶好のロケーションにあります。内装は和モダンを基調とし、落ち着いた雰囲気の中で食事を楽しむことができます。
甲州ワインビーフと山梨ワインの饗宴
同店の看板メニューは「甲州ワインビーフステーキ重ランチ」です。甲州ワインビーフは、山梨県産の黒毛和牛で、飼育過程でワインの搾りかすを飼料に混ぜることで、肉質が柔らかく、独特の風味を持つことで知られています。このステーキ重では、丁寧に焼き上げられた甲州ワインビーフが、特製の割り下で味付けされた米の上に豪快に盛り付けられます。肉の旨味と甘辛いタレの相性は絶妙で、一口食べれば思わず笑みがこぼれる美味しさです。また、特筆すべきは「甲州ワイン18種飲み比べとドリンク80種飲み放題」のオプションです。山梨県は日本有数のワイン産地として知られており、その多様性を体験できる貴重な機会となっています。甲州種から造られる白ワインは、さわやかな酸味と柑橘系の香りが特徴で、甲州ワインビーフとの相性も抜群です。
シェフとの対話から生まれる味わい
「私たちが大切にしているのは、食材の持つ本来の味わいを最大限に引き出すこと」と語るのは、料理長の山田さん。「甲州ワインビーフは、焼き加減が命です。外はこんがりと香ばしく、中はジューシーに仕上げるために、火加減と休ませる時間に細心の注意を払っています」また、ワインセレクションについて伺うと、「山梨県内の小規模ワイナリーから大手メーカーまで、バランスよく取り揃えています。特に最近は自然派ワインの人気が高まっていて、添加物を極力使わない製法のワインも数多く取り扱っています」とのこと。もてなしや三ツ星の魅力は単に料理の美味しさだけではなく、食を通じて山梨の文化や歴史を学べる点にもあります。「お客様には単に食事を提供するだけでなく、その背景にある物語もお伝えしたい」という想いが、細部にまで行き届いたサービスに表れています。
忍野八海 – 富士の恵みが生み出す神秘の泉

千年の歴史を持つ霊泉
忍野八海は、山梨県南都留郡忍野村に位置する八つの湧水池の総称で、富士山の雪解け水が地下水となって湧き出る名所です。「やつがしら・おかま池・でがしり・濁池・鏡池・菖蒲池・底抜池・湧池」の八つの池からなり、富士山の伏流水が長い年月をかけて地上に湧き出したものとされています。歴史的には、平安時代から霊泉として崇められてきました。江戸時代には富士講の聖地として多くの参拝者が訪れ、各池には独自の言い伝えや伝説が残されています。1934年(昭和9年)には国の天然記念物に指定され、2013年には富士山の構成資産として世界文化遺産にも登録されました。
自然と文化が織りなす景観美
忍野八海の最大の魅力は、澄み切った水の透明度と、背景に広がる富士山の組み合わせです。特に晴れた日の早朝には、水面に富士山が映り込む絶景を楽しむことができます。八つの池はそれぞれに特徴があり、中でも「鏡池」は名前の通り水面が鏡のように周囲の景色を映し出す美しさで知られています。また「底抜池」は深さ約8メートルと最も深く、澄んだ青色の水が神秘的な雰囲気を醸し出しています。周辺には茅葺屋根の古民家や水車小屋なども残されており、日本の原風景を感じさせる景観が広がっています。また、地元の特産品を扱う土産物店や飲食店も充実しており、名物の「忍野そば」や「富士山の湧水で作られた豆腐」などを楽しむことができます。
地元ガイドが語る忍野八海の秘密
「忍野八海の水は富士山に降った雨や雪が地中を20年以上かけて濾過されたものなんですよ」と説明してくれたのは、地元で観光ガイドを務める佐藤さん。「そのため、年間を通して水温が約13度と一定で、真夏でも冷たく、冬でも凍ることがありません」各池の見どころについて伺うと、「菖蒲池は初夏に花菖蒲が咲き誇り、とても美しい景観を作り出します。また、湧池では実際に水が湧き出る様子を観察できるので、自然の神秘を感じやすいスポットです」とのこと。また、訪問時の注意点としては、「世界遺産登録後、特に週末や祝日は非常に混雑します。できれば平日の早朝に訪れることをおすすめします。また、湧水は飲用可能な場所もありますが、必ず指定された場所でのみお飲みください」とアドバイスをいただきました。
旅の駅 kawaguchiko base – 新しい観光の形を提案する複合施設

河口湖畔に誕生した新たな観光拠点
2019年にオープンした「旅の駅 kawaguchiko base」は、富士河口湖町の観光振興を目的として建設された複合施設です。河口湖畔に位置し、富士山の絶景を望む立地の良さと、多彩な機能を兼ね備えた新しいタイプの観光拠点として注目を集めています。施設のコンセプトは「旅の始まりと終わりを彩る場所」。観光案内所としての機能はもちろん、地元の特産品を販売するショップ、地元食材を使ったレストラン、コワーキングスペース、さらにはアクティビティの予約カウンターまで備えた多機能な施設となっています。
施設の見どころと楽しみ方
kawaguchiko baseの最大の魅力は、河口湖と富士山を一望できる開放的なテラス席です。晴れた日には、湖面に映る富士山を眺めながらカフェでのひとときを楽しむことができます。館内のショップでは、山梨県の特産品である果物や、ワイン、富士山モチーフの工芸品など、厳選された土産物を購入することができます。特に「富士山バウム」などのオリジナル菓子は、見た目の美しさと味の良さで人気を集めています。レストラン「富士見dining」では、山梨県産の食材を使用した創作料理を提供。「ほうとう」などの郷土料理のほか、甲州ワインビーフのステーキなど、地元の食材をふんだんに使用したメニューを楽しむことができます。また、施設内には観光情報コーナーが設けられており、季節ごとのイベント情報や周辺の観光スポット、バスの時刻表など、旅行者に役立つ情報が集約されています。英語や中国語など多言語対応のスタッフも常駐しており、外国人観光客にも安心して利用できる環境が整っています。
施設責任者が語る新たな観光のカタチ
「私たちが目指したのは、単なる観光案内所ではなく、旅の価値を高める総合的な施設です」と語るのは、施設長の田中さん。「富士五湖エリアは従来の『見る観光』だけでなく、『体験する観光』への転換期にあります。私たちの施設ではカヤックやサイクリングなどのアクティビティ予約も可能で、より深く地域を知ることができる仕組みを作っています」施設の特徴的な取り組みとしては、地元クリエイターとのコラボレーション商品の開発があります。「富士山の自然や文化を表現した工芸品や食品を、地元の職人さんたちと一緒に企画・販売しています。観光客の皆さんには、ただ景色を見るだけでなく、この地域の暮らしや文化にも触れていただきたいと思っています」とのこと。また、「コロナ禍を経て、観光のスタイルも変化しています。密を避けた少人数での観光や、自然の中でのアクティビティへの関心が高まっています。私たちの施設でも、そうした新しいニーズに応える情報発信を心がけています」と、最新の観光トレンドへの対応についても語ってくださいました。
富士河口湖紅葉まつり/河口湖もみじ回廊 – 秋の富士を彩る紅葉絵巻

秋の風物詩として定着した紅葉イベント
富士河口湖紅葉まつりは、毎年11月上旬から11月下旬にかけて開催される、富士河口湖町の秋を代表するイベントです。特に河口湖北岸に整備された「もみじ回廊」は、約60種類、1,300本以上のカエデが植えられ、見事な紅葉のトンネルを形成することで知られています。このイベントの歴史は1998年に始まり、当初は小規模なものでしたが、年々規模を拡大し、現在では年間約80万人が訪れる山梨県を代表する秋のイベントに成長しました。地元の人々の手によって大切に育てられてきたカエデの木々は、今では圧巻の景観を生み出しています。
見どころと楽しみ方
紅葉まつりの最大の見どころは、言うまでもなく「もみじ回廊」の紅葉です。湖畔に沿って約2.5kmにわたって続く遊歩道では、赤や黄色、オレンジなど様々な色に染まるカエデの葉と、背景に広がる富士山のコントラストが絶景です。特に晴れた日の夕方は、夕陽に照らされる紅葉と富士山のシルエットが幻想的な風景を作り出します。また、紅葉まつり期間中は、回廊内に約1,000個の提灯が灯され、日没後から21時までライトアップが行われます。昼間とはまた違った幻想的な雰囲気を楽しむことができ、多くのカップルや写真愛好家で賑わいます。期間中は様々なイベントも開催され、地元の食材を使った屋台や、伝統工芸の実演販売、週末には音楽ライブなども行われます。特に「富士河口湖紅葉ウォーク」は人気のイベントで、ガイドと一緒に紅葉スポットを巡るツアーが開催されています。
イベント担当者が語る紅葉まつりの魅力
「もみじ回廊の特徴は、富士山と紅葉と河口湖という三つの自然美が一度に楽しめること」と語るのは、紅葉まつり実行委員会の高橋さん。「特に写真スポットとして人気なのが、紅葉のアーチと富士山が同時に収まる『河口湖もみじトンネル』です。SNS映えするスポットとして、若い世代にも人気が高まっています」紅葉の見頃については、「例年だと11月中旬がピークとなりますが、その年の気候によって多少前後します。公式サイトやSNSで紅葉状況を随時更新していますので、訪れる前にチェックしていただくことをおすすめします」とのアドバイス。また、混雑を避けるコツについては、「平日の早朝が最も静かに紅葉を楽しめます。特に写真を撮影したい方は、朝日が差し込む7時から9時頃がおすすめです。週末は大変混雑するため、公共交通機関のご利用をお願いしています」と教えてくださいました。
まとめ – 富士山麓の魅力を堪能する旅
富士山麓エリアは、歴史的建造物から自然の恵み、グルメ、そして季節のイベントまで、多彩な魅力にあふれています。甲斐の猿橋で日本の伝統建築技術に触れ、もてなしや三ツ星で山梨の食文化を堪能し、忍野八海で富士の恵みを感じ、kawaguchiko baseで新しい観光の形に出会い、そして紅葉まつりで季節の美を楽しむ – この旅は、富士山の魅力を多角的に体験できる充実した内容となっています。四季折々の表情を見せる富士山周辺の観光地は、何度訪れても新たな発見があります。次回の山梨旅行の参考にしていただければ幸いです。
コメント